カルテ開示請求は、患者が医療機関に請求できる正当な権利です。
「身に覚えのない料金が請求されている気がするけれど、確信が持てない……」
そんな違和感を抱いたことはありませんか?
歯科医院で渡される診療明細書に記載された「歯科衛生実地指導料」。この数百円の項目の裏側に、現実とはかけ離れた「ファンタジーの世界」が広がっているとしたらどうでしょう。
私は、その真実を確かめるために、患者の正当な権利である「カルテ(診療録)開示請求」を行いました。そこで目にしたのは、丁寧な医療の記録ではなく、身に覚えのないアドバイスが並ぶ「架空のログ」でした。
窓口では決して手渡されない「秘密の書類」
厚生労働省のルール(算定要件)では、実地指導料を請求する場合、「指導内容を記載した文書を、算定したその日に、患者へ直接手渡すこと」が絶対条件となっています。
しかし、私がカルテ開示請求をして初めて手にした『歯科衛生実地指導記録』という書類は、通院当日に窓口で渡されることはありませんでした。この時点で、すでにルール(仕様)からの逸脱が示唆されています。
さらに驚くべきは、その「中身」でした。
教科書通りの「完璧すぎる」アドバイス
開示された書類には、私が歯科衛生士から一度も聞いたことのないアドバイスが、驚くほど具体的に書き込まれていました。
「歯肉からの出血があります」 「歯ブラシは『えんぴつ持ち』で、小刻みに動かし、優しく丁寧に磨きましょう」
実際はどうだったか。歯科衛生士は淡々と歯周ポケットの深さを計測しただけで、「磨き残しがありますよ」といった指導すら一切ありませんでした。
現場で行われた「実装(現実)」と、カルテに残された「記録」。この両者の間には、埋めようのない巨大なバグ(不整合)が存在していたのです。これは、請求要件を形式的に満たすため、あらかじめ用意されたテンプレートを流用した「ファンタジー(創作)」と言わざるを得ません。
なぜ「架空の指導」が記録されるのか
なぜ、これほど明白な「嘘」が公的な記録として残されてしまうのでしょうか。
その背景には、医療現場で使われる会計ソフト(レセコン)が、「検査をしたら自動的に指導料をセットする」という運用になっている実態があります。
現場のスタッフも、これが「不正」であるという認識が薄く、「いつもの流れだから」「少し説明したつもりだから」という感覚で、実態のない請求が常態化している可能性があるのです。たとえ一人数百円でも、全国規模で積み重なれば、それは膨大な額の医療費(公金)の不適切な流出を意味します。
「お任せ」から「確認」へ。主権を取り戻す一歩
医療の内容がブラックボックス化されている以上、私たちは「お医者様にお任せ」という姿勢でいる限り、こうした「ファンタジー」の対価を支払い続けることになります。
自分自身の健康と、大切なお財布の主権を守るためには、「監視の目」を持つことが不可欠です。
- 明細書に「実地指導料」が入っているか?
- 今日、本当に15分以上の丁寧な指導を受けたか?
- 指導内容を書いた紙を、その場で受け取ったか?
著書『お口の主権を取り戻せ』では、行政(厚生局)との50分間にわたる緊迫の対話記録や、こうした不適切な請求を初診の段階で防ぐための「5つの魔法の質問」を詳しく解説しています。
「おかしい」と感じた違和感をそのままにせず、賢いユーザーとして一歩踏み出してみませんか? あなたが受け取る次の明細書が、真実の記録であるために。
※ 本記事は、電子書籍『お口の主権を取り戻せ』の内容の一部をWeb用に再構成したものです。







