信じていたものに裏切られたとき、私たちの心は凍りつき、鋭い怒りの棘で武装してしまいます。
けれど、その棘で一番深く傷つくのは、他ならぬ自分自身なのです。
今回は、過去の重荷を静かに下ろし、再び自分の心に「優しさ」という光を灯した、ある職人の物語をお届けします。
ポエムと動画:『裏切りを感じても』
裏切りを感じても
怒りを溜めず
「それは過去」
今の私は
ただ優しく在る
裏切りという名の嵐を
超えて再び優しさを選ぶ旅
短編物語:『黄金の金継ぎ』
裏切りや苦しみは避けられません。
しかし、それに囚われず心を再生させることで、真の強さと優しさを獲得できます。
お伝えするのは、過去の痛みを光に変える自己変革の物語です。
その街で一番の陶芸家だった男は、ある日、弟子に全ての技法と大切な道具を盗み出された。信頼という名の美しい器が、目の前で粉々に砕け散った瞬間だった。
男の胸には、黒い煙のような怒りが立ち込めた。毎日、盗まれた道具を思い、弟子の不誠実さを呪った。しかし、呪えば呪うほど、男の指先は強張り、新しい土を捏ねることができなくなっていった。男の心は、あの「裏切られた瞬間」に置き去りにされていたのだ。
数ヶ月が経ったある朝、男は庭で、冬の寒さに耐えて咲く小さな花を見た。その花は、昨日の嵐で茎が折れかけていたが、それでも今日、ただ静かに花びらを開いていた。
「花は、嵐を恨んでなどいないのだな」
男は気づいた。裏切られたことは、確かに過去に起きた事実。けれど、今この瞬間にまで怒りを持ち込み、自分の心を濁らせているのは、自分自身だったのだ。
「それは、もう過去のことだ」
男はそう呟き、深く呼吸をした。すると、胸の中にあった黒い煙が、朝日の中に溶けて消えていった。
男は再び土に向かった。今度の器は、かつてのものよりずっと薄く、それでいて強い。割れた器を黄金で繋ぎ合わせる「金継ぎ」のように、彼は自分の心の傷を、優しさという名の光で繋ぎ合わせた。
裏切りを知ったからこそ、彼は知ったのだ。本当の優しさとは、何も起きない平和な場所で育つものではなく、嵐のあとの静寂の中に、自らの意志で咲かせるものなのだということを。
【付属解説】物語を読み解くヒント
- あらまし
裏切られた怒りに囚われていた職人が、自然の姿に触れて「今」を取り戻し、傷を抱えたまま再び優しく在ることを選ぶ再生の物語。 - テーマ
過去との決別、自己浄化、意志による慈愛。 - 重要ポイント
怒りを溜めないことは、相手を許すこと(免罪)と同義ではない。自分の「今」という時間を、過去の被害者として浪費しないための「自己救済」である。
Q&A
まとめ
現実をありのままに受け入れて、そこに評価を加えないことが一番大切です。
物語中の男は、花の姿から「花は、嵐を恨んでなどいないのだな」と気づき、自らのあり方を正しい方向へリセットすることができました。
自然の力は壮大で、私は育てている花から常にエネルギーをもらっています。
そんな花への愛しい想いを歌にしました。















