「昨日」に心を預けない ―― 裏切りという名の嵐を越えて、再び優しさを選ぶ旅 No.45

裏切りを感じても~裏切りという名の嵐を超えて再び優しさを選ぶ旅 アイキャッチ画像

信じていたものに裏切られたとき、私たちの心は凍りつき、鋭い怒りの棘で武装してしまいます。

けれど、その棘で一番深く傷つくのは、他ならぬ自分自身なのです。

今回は、過去の重荷を静かに下ろし、再び自分の心に「優しさ」という光を灯した、ある職人の物語をお届けします。

ポエムと動画:『裏切りを感じても』

裏切りを感じても

怒りを溜めず

「それは過去」

今の私は

ただ優しく在る

裏切りという名の嵐を
超えて再び優しさを選ぶ旅

短編物語:黄金の金継ぎ

裏切りや苦しみは避けられません。

しかし、それに囚われず心を再生させることで、真の強さと優しさを獲得できます。

お伝えするのは、過去の痛みを光に変える自己変革の物語です。

その街で一番の陶芸家だった男は、ある日、弟子に全ての技法と大切な道具を盗み出された。信頼という名の美しい器が、目の前で粉々に砕け散った瞬間だった。

男の胸には、黒い煙のような怒りが立ち込めた。毎日、盗まれた道具を思い、弟子の不誠実さを呪った。しかし、呪えば呪うほど、男の指先は強張り、新しい土を捏ねることができなくなっていった。男の心は、あの「裏切られた瞬間」に置き去りにされていたのだ。

数ヶ月が経ったある朝、男は庭で、冬の寒さに耐えて咲く小さな花を見た。その花は、昨日の嵐で茎が折れかけていたが、それでも今日、ただ静かに花びらを開いていた。

「花は、嵐を恨んでなどいないのだな」

男は気づいた。裏切られたことは、確かに過去に起きた事実。けれど、今この瞬間にまで怒りを持ち込み、自分の心を濁らせているのは、自分自身だったのだ。

「それは、もう過去のことだ」

男はそう呟き、深く呼吸をした。すると、胸の中にあった黒い煙が、朝日の中に溶けて消えていった。

男は再び土に向かった。今度の器は、かつてのものよりずっと薄く、それでいて強い。割れた器を黄金で繋ぎ合わせる「金継ぎ」のように、彼は自分の心の傷を、優しさという名の光で繋ぎ合わせた。

裏切りを知ったからこそ、彼は知ったのだ。本当の優しさとは、何も起きない平和な場所で育つものではなく、嵐のあとの静寂の中に、自らの意志で咲かせるものなのだということを。

【付属解説】物語を読み解くヒント

  • あらまし
    裏切られた怒りに囚われていた職人が、自然の姿に触れて「今」を取り戻し、傷を抱えたまま再び優しく在ることを選ぶ再生の物語。
  • テーマ
    過去との決別、自己浄化、意志による慈愛。
  • 重要ポイント
    怒りを溜めないことは、相手を許すこと(免罪)と同義ではない。自分の「今」という時間を、過去の被害者として浪費しないための「自己救済」である。

Q&A

男はなぜ怒りを感じ、指先が強張って新しい土を捏(こ)ねられなくなったのですか?

男は弟子に全ての技法と大切な道具を盗まれたことで「信頼という名の美しい器」が粉々に砕けたと感じ、裏切りと不誠実さに怒りを抱きました。その怒りが心に黒い煙のように立ち込めており、呪うほどに指先が強張り、新しい土を捏ねることができなくなっていったのです。

男が庭で咲く小さな花を見て気づいたことは何ですか?

男は冬の寒さに耐えて咲く小さな花が、昨日の嵐で茎が折れかけていたにもかかわらず、静かに花びらを開いているのを見て、「花は嵐を恨んでいない」ということに気づきました。つまり、過去の裏切りや怒りを今に持ち込んで心を濁らせているのは自分自身であると理解したのです。

男はどのようにして心の傷を癒し、新たな器を作り始めましたか?

男は過去の裏切りを「もう過去のこと」と受け入れ、深く呼吸をして胸の中の黒い煙を朝日に溶かして消しました。その後、再び土に向かい、かつてのものより薄くて強い器を作り始めました。壊れた器を黄金で繋ぎ合わせる「金継ぎ」のように、自分の心の傷を優しさという光で繋ぎ合わせたのです。

この物語が伝える「本当の優しさ」とは何ですか?

本当の優しさとは、何も起きない平和な場所で育つものではなく、嵐のあとの静寂の中で自らの意志で咲かせるものであるということ。裏切りや苦難を経験したからこそ、その優しさを知ることができると物語は示しています。

まとめ

現実をありのままに受け入れて、そこに評価を加えないことが一番大切です。

物語中の男は、花の姿から「花は、嵐を恨んでなどいないのだな」と気づき、自らのあり方を正しい方向へリセットすることができました。

自然の力は壮大で、私は育てている花から常にエネルギーをもらっています。

そんな花への愛しい想いを歌にしました。

楽曲:小さな命いつまでも~マリエの祈り永遠に~